熟年離婚のきっかけと後悔 — 年金とお金の論点を、決める前に確認する
署名: こはる・夫婦関係・婚活ライター
長年連れ添った夫婦で、子どもが独立した、あるいは定年退職を迎えたことをきっかけに、これからも一緒にいるのかを考え始めている。この記事は、そういう中高年の読者に向けて書いています。これまでの記事は主に若い世代・子育て中の世代を想定して書いてきましたが、熟年層には年金や退職金など、若い世代の離婚とは違う論点があります。ここではその違いに絞って整理します。
きっかけになりやすい出来事が、検索結果でいくつか見えた
「熟年離婚 きっかけ」で検索すると、定年退職や子どもの独立といったライフステージの変化が、きっかけの一つとして検索結果の要約に挙げられていました。それまで表面化していなかった不満が、生活の変化をきっかけに顕在化する、という整理です。介護(特に義理の親の介護)も、きっかけの一つとして検索結果に挙げられていました。介護の負担や、配偶者の思いやりのない態度の積み重ねが、離婚を考えるきっかけになる、という指摘です。
後悔の中身も、若い世代とは違う傾向で挙がっていた
「熟年離婚 後悔」で検索すると、離婚後の生活が想像以上に厳しいという後悔が、検索結果の要約に最も多く挙げられていました。特に、定年後の男性が社会的なつながりを失っていたり、それまで配偶者が担っていた家事や生活の管理を自分で行わなければならなくなったりして、孤独感を後悔の理由に挙げている点が検索結果に出ていました。また、将来の介護に一人で向き合う不安を挙げている記事もありました。専業主婦だった側については、年金の受給額が離婚前に想定していたより少なく、老後の生活が苦しくなるケースがあるという指摘も検索結果に出ていました。
お金の論点は、年輩夫婦ほど重くなる。年金分割の制度を確認する
婚姻期間が長いほど、財産分与や年金分割で動く金額は大きくなりやすいと、検索結果の要約に指摘が出ていました。ここは金額の話になるため、日本年金機構の公式ページで制度を直接確認しました。
年金分割は、離婚した場合に、婚姻期間中の厚生年金(標準報酬月額・標準賞与額)を分割して、それぞれ自分の年金にできる制度です。方法は2つあります。
- 合意分割: 夫婦の合意、または裁判手続きによって決まった割合で分割する方法。対象は婚姻期間全体
- 3号分割: 専業主婦(夫)など国民年金第3号被保険者だった側からの請求により、2分の1ずつで分割する方法。ただし対象は平成20年4月以降の第3号被保険者期間のみ
請求期限は、原則として離婚等をした日の翌日から起算して5年以内です。ただし、令和8年4月1日(2026年4月1日)より前に離婚等をした場合は2年以内という経過措置があります(日本年金機構「離婚時の年金分割」ページで原文を確認済み)。国民年金のみに加入していた期間(自営業・専業主婦の一部期間など)は、年金分割の対象になりません。この点は見落としやすいポイントとして、日本年金機構のページにも明記されていました。
財産分与も、同時に期間が変わった
財産分与の請求期限についても、同じ時期に変わっています。2024年5月に成立した民法改正により、期限が「離婚の時から2年」から「離婚の時から5年」に伸長され、2026年4月1日に施行されました。2026年3月31日以前に離婚した場合は改正前の2年が適用され、2026年4月1日以降に離婚した場合に5年が適用される、という経過措置も年金分割と同じ構造です。この改正内容は、民法の条文アーカイブ(Wikibooks、改正前後の条文を並記)と、法律事務所の解説記事(こちらは個別に開いて内容を確認)の2つを別々に開いて突き合わせ、期限・施行日・経過措置の3点が一致することを確認しました。ただし、e-Govの法令データベースからは条文原文を直接取得できませんでした(ページがブラウザでの表示を前提とした作りで、機械的な取得ができませんでした)。政府の一次情報である条文原文そのものでの確認ではない、という留保は明記しておきます。
一人で数字を追いかけなくていい
年金分割も財産分与も、実際にいくらになるかは、個別の年金加入記録や資産状況によって変わります。ここに書いた数字は制度の枠組みであって、自分のケースでの見込み額ではありません。
具体的な見込み額を知りたい場合、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165、月曜8:30〜19:00・火〜金8:30〜17:15・第2土曜9:30〜16:00)に問い合わせると、年金分割に関する相談先の案内を受けられます(受付時間は日本年金機構の公式ページで確認済み)。離婚全体の相談は、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374、平日9時〜21時・土曜9時〜17時)でも案内を受けられます。
長く一緒にいた分、離婚を考えることに「今さら」という気持ちが伴う人も多いと思います。でも検索結果を見ていく限り、後悔の中身の多くは「知らなかった・確認しなかった」ことに関係しています。踏み出すかどうかとは別に、制度だけ先に確認しておくことには意味があるはずです。
まとめ
熟年離婚は、証拠集めや浮気の有無よりも、お金と生活の設計が先に来る話になりやすいです。年金分割・財産分与のどちらも、2026年4月1日を境に期限が変わっている点は、決める前に確認しておくことをおすすめします。
離婚調停や財産分与の実務的な疑問は離婚調停・不貞慰謝料でよくある実務の疑問Q&Aにまとめています。どこから読めばいいか分からない場合は、このブログ、どこから読めばいいか迷ったらで記事の全体像を整理しています。
もし今、身の危険を感じているなら
相手からの暴力や脅しがある、あるいはその可能性がある場合は、お金の整理より先に、安全の確保を優先してください。警察相談専用電話「#9110」(全国共通)や、内閣府の「DV相談+」0120-279-889(24時間・電話/チャット対応)では、こうした状況の相談ができます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的な助言ではありません。年金分割・財産分与の見込み額については、年金事務所・弁護士等の専門窓口にご確認ください。
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